こんばんは!『MEラボ』管理人のkoukiです。
今回の勉強ノートのテーマは、透析医療において最も重要といっても過言ではない「バスキュラーアクセス(VA)」についてです。
血液透析(HD)を行うためには、1分間に約200mLもの血液を取り出して戻すための「血液の出入り口」が必要です。
現場では「AVF」「AVG」「カテーテル」などの専門用語が飛び交いますが、それぞれの特徴やメリット・デメリットをしっかり理解しておきましょう!
- バスキュラーアクセス(VA)の主な種類
代表的なVAには、大きく分けて以下の3つがあります。
① 自己血管内シャント(AVF:Arteriovenous Fistula)
患者さん自身の「動脈」と「静脈」を手術でつなぎ合わせたもの(主に前腕)です。臨床で最も推奨される第一選択のVAです。
メリット: 感染に強く、長持ちする(開存率が高い)。
デメリット: 血管が細い患者さんでは作成が難しい。作成してから穿刺できるようになるまで時間がかかる(数週間〜1ヶ月程度)。
② 人工血管内シャント(AVG:Arteriovenous Graft)
自身の静脈が細い・詰まっているなどの理由でAVFが作れない場合、ポリエステルやPTFEなどの「人工血管」を動脈と静脈の間に移植・接続します。
メリット: 血管が細い患者さんでも作成可能。AVFよりも早く穿刺に使える。
デメリット: AVFに比べて感染リスクが高く、血栓が詰まりやすい(耐用年数が短め)。
③ 表在化動脈(動脈表在化)
動脈(上腕動脈など)を皮下の浅い位置に持ち上げて、直接穿刺できるように加工したものです。
メリット: 心臓への負担(心負荷)が少ない(シャントのように静脈へ逃げる血流がないため)。合併症が少ないことや、表在化することで正中神経から離すことができる。
用途: 心不全が重度でシャント作成に耐えられない患者さんなどに選択されます。 - 緊急時・一時的なVA「透析用カテーテル」
シャントが急に詰まってしまった場合や、急性腎障害(AKI)などで緊急透析が必要な場合は、首(内頸静脈)や太もも(股静脈)から「透析用留置カテーテル」を挿入します。
短期留置用(非カフ型): 緊急用。感染リスクが高いため長期間の放置はNG。
長期留置用(カフ型・パーマキャスなど): 皮下に「カフ」と呼ばれる繊維組織を固定することで、細菌の侵入を防ぎ長期使用を可能にしたタイプ。 - MEが押さえるべき「日常のVA観察ポイント」
透析前や日常業務において、アクセス状態を評価するための3大チェック項目です。 - 視診(見て確認)
発赤、腫脹、局所の熱感(感染サインはないか?)
穿刺部の瘤(コブ)の形成や、皮膚の薄小化はないか? - 触診(触って確認:スリル)
シャント部に手を当てたとき、ザーザーという振幅(スリル)をしっかり感じるか?(拍動が「コンコン」と硬い場合は脱血不良や狭窄の疑い) - 聴診(聴いて確認:シャント音)
聴診器をあてて、低く持続的な「ザーザー」という血流音(シャント音)を聴く。
音が「ピッチの高いキュッキュッという高音」に変わっている場合は、血管狭窄(狭くなっている)のサイン。
今日のまとめ
バスキュラーアクセスは、患者さんが安全に透析を受けるための土台です。
第一選択は「AVF(自己血管)」(感染に強く長持ち)
血管が乏しければ「AVG(人工血管)」(感染・血栓に注意)
日常観察は「視診・触診(スリル)・聴診(シャント音)」
それぞれの構造と弱点を把握しておくと、透析中の脱血不良や静脈圧上昇のトラブル時にも素早く原因を見つけられるようになります!
これからも臨床工学技士として役立つ知識を発信していきますので、ぜひ参考にしてみてください!

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